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この記事で分かること
「商社の1年って、どんなふうに動いているの?」という疑問に、現場目線でお答えします。
・商社の1年は4月の期初から3月の年度末まで、予算・決算・人事異動の周期で動いています。・いちばん忙しいのは2月から3月末で、年度末の追い込みと翌年度の予算づくりと異動の内示が重なります。・部門によって繁忙期は変わります。全社共通の大きな山は年度末(次いで4月の期初)だと思っておくと実態に近いです。
職種・部門ごとの仕事の中身や1日の流れはこの記事では扱いません。それぞれ別の記事に分けてあり、本文からリンクしています。
はじめに
「商社の1年って、どんな順番で進むの?」 「いつがいちばん忙しいの?」 「入社する時期で最初の仕事は変わるの?」
そんな疑問を持つあなたへ。
商社の1年は、4月の期初に予算が動き出し、四半期ごとに進捗を締めながら、2月から3月末の追い込みで年度が終わります。5大商社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)はいずれも3月期決算なので、決算と開示の節目は共通です。
ただし、部門によって忙しくなる月はずれます(理由は「部門ごとに山が来る時期がずれる」で説明します)。
私の実感では、全社が同時に忙しくなるのは年度末で、比較的落ち着くのはお盆前後と年末年始の休暇の時期です。
この記事では、期初から決算までの1年の流れと、決算・開示の日程、現場から見た繁忙期の実感を順に説明します。
面接で「入社後どう動くか」を聞かれたときに答えられる形まで、一緒に整理していきましょう。
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この記事は1年の進み方を扱いますが、実際にどの部署に入るかで山の来る時期は変わります。求人票には担当する商材と職種が書かれています。
この記事は「1年の進み方」を扱います

商社の仕事は、1日単位で見るのと1年単位で見るのとで、まったく違う姿になります。1日で見れば会議とメールと調整の連続ですが、1年で見ると期初の予算作り、上期の締め、下期の巻き返し、決算という決まったリズムがあり、忙しさの山と谷はここで決まります。
この記事はその年間のリズムだけを扱います。職種・部門・勤務地ごとの中身や1日の流れは、それぞれ別の記事に分けています。
- 商社の職種は何があるか|営業・事業投資・コーポレートと勤務地の違い
- 商社の部門はどう分かれているか|本部別の仕事と担当の決まり方
- 商社は何してる?仕事内容と1日の流れ
- 商社新入社員の一日|営業・管理・海外の時間割と残業の実際
なぜ年間のリズムを知っておくと効くのか

転職の面接では、入社後にどう動くかを聞かれることがあります。年間のどこに何があるかを知っていれば、入社時期に合わせた答え方ができます。4月に入れば期初の計画づくりから加わり、10月に入れば上期の数字を引き継いだところから始まるからです。
もうひとつは、応募の時期です。中途の募集時期を公表している会社もあるので(下の「1年の流れを面接でどう使うか」で紹介します)、応募の前に確かめておくと選考の見通しが立てやすくなります。
部門ごとに山が来る時期がずれる

同じ会社でも、年度の山が来る時期は部門で違います。資源系は価格交渉のサイクル、食料系は産地の収穫期、機械系は納期と検収のタイミングに引きずられます。「商社は決算期が忙しい」で一括りにはできません。
どの部門がどんなリズムで動くかは商社の部門はどう分かれているか、総合商社と専門商社の違いは総合商社と専門商社の違いをご覧ください。
商社の仕事の年間サイクル

商社の仕事には明確な年間サイクルがあります。
四半期ごとに、主な出来事を順に並べます。
4月-6月:新年度スタート期
4月に新年度の予算が動き出し、新入社員と異動した人が新しい担当に就きます。前年度の決算短信は4月から5月に発表され、決算の数字を固める時期は営業と経理・管理部門のやり取りが増えます。6月には定時株主総会と有価証券報告書の提出があります。現場では期初の計画に沿って案件を進めながら、第1四半期の数字を固めていきます。
7月-9月:上期の締め
7月から8月に第1四半期の決算短信が出ます。9月末で上期が終わるので、上期の数字と下期の見通しを詰めます。
10月-12月:下期のスタート
10月から下期が始まり、11月上旬に中間期の決算短信、11月中旬までに半期報告書が出ます。年末に向けて年度目標への追い込みが始まります。私のいた部署では、年末ごろから翌年度の予算の検討を始め、2〜3月に固めていました。
1月-3月:年度末
1月から2月に第3四半期の決算短信が出ます。2月から3月末は、年度末の数字の締めと翌年度の予算づくり、人事異動の内示が重なり、1年でいちばん忙しい時期です(詳しくは下の「現場から見た繁忙期」で書きます)。
決算と開示の仕組み(2024年の変更)
上の四半期ごとの節に書いた開示の日程は、5大商社とも3月期決算なので共通です。有価証券報告書は金融商品取引法で事業年度終了後3か月以内、半期報告書は半期経過後45日以内に出すことになっています。
ここは2024年に制度が変わったところなので、古い解説に注意してください。四半期報告書は2024年4月1日以後に始まる事業年度から廃止され、第1・第3四半期は四半期決算短信に一本化されました。第2四半期(中間期)は半期報告書の提出が義務づけられています。3月期決算の会社では2025年3月期の第1四半期から新しい形になっています(出典:金融商品取引法等の一部を改正する法律、東京証券取引所の上場制度の見直し)。
現場から見た繁忙期
制度上のカレンダーと、現場の忙しさは少しずれます。私が商社に30年以上いて実感したのは、次の3つの山でした。
1つ目は2月から3月末です。年度末の数字を締める追い込みと、翌年度の予算づくりと、人事異動の内示が重なります。営業も管理部門も同時に忙しくなるので、1年でいちばん余裕がありません。
2つ目は4月です。新入社員が入り、異動した人が新しい担当を引き継ぎ、期初の予算が動き出します。引き継ぎが甘いと、この時期に取引先との関係が切れかけます。転職で入る場合も、4月と10月は異動と同時に入ることになるので、忙しい時期ではありますが、引き継ぎの流れに乗りやすい面があります。
3つ目は担当商材の季節性です。穀物なら北半球と南半球の収穫期、エネルギーなら暖房需要の入る冬、繊維やアパレルなら展示会と生産の切り替え時期に山が来ます。部門によって忙しい月が違うのはこのためで、全社共通の大きな山は2〜3月の年度末で、4月の期初がそれに次ぐ、と思っておくと実態に近いです。
逆に落ち着くのはお盆前後と年末年始の休暇の時期です。ただし海外の取引先は8月に長期休暇を取る国が多く、欧州が相手だと連絡が付きにくくなります。日本側が動ける時期に相手が動けないということが起きるので、夏前に決めておきたい案件は前倒しで進めるのが定石でした。
1年の流れを面接でどう使うか
中途の募集時期は会社ごとに違います。三菱商事は日付まで公表しており、2026年度は春が3月4日〜26日、秋が10月9日〜11月5日でした。三井物産も年3回のクールごとに日程を公表しています。丸紅は「通年/ポジション別」の募集、住友商事は「通年/案件毎に随時」(応募から内定通知まで1.5〜3か月程度)と公表しており、伊藤忠商事は登録制で募集時期を公表していません(2026年10月15日に各社の採用ページで確認)。
中途採用の面接で「うちの仕事の1年をどうイメージしていますか」と聞かれることがあります。年度末に数字を締める話や、決算開示の前後は部門をまたいで動く話ができると、業界の外から来た人でも中を見ている印象になります。
面接官をしていた頃、入社時期の希望を聞くと「前職の引き継ぎを済ませたうえで、組織が動く時期に合わせたい」と答える人がいて、そういう人には、仕事の流れが分かっているという印象を持ちました。
商社の仕事のやりがいと課題

1年の流れとあわせて、やりがいと大変さも押さえておくと入社後の姿を描きやすくなります。やりがいとしては、規模の大きな案件や海外との仕事に関われることが挙げられます。大変さとしては、相場や為替の変動への対応、時差のある相手とのやり取り、年度末の追い込みがあります。詳しくは商社転職のやりがい|感じられる人と続かない人の分かれ目にまとめています。
年収の違いは商社の年収を総合・専門で比較にまとめています。
商社という業態そのものの説明は商社とは何をする会社かをご覧ください。
まとめ
商社の1年は、予算・決算・人事異動という決まった周期で動いています。
この記事でお伝えした内容を振り返っておきます。
5大商社はいずれも3月期決算なので、1年の節目は各社で共通です。
期初の4月に予算が動き出し、四半期ごとの進捗確認を挟みながら、2月から3月末の追い込みで年度が締まります。
決算と開示の日程(6月の株主総会と有価証券報告書、四半期ごとの決算短信と半期報告書)が1年の節目になります。
部門によって繁忙期は変わります。私の実感では、全社共通で忙しいのは年度末で、比較的落ち着くのはお盆前後と年末年始の休暇の時期です(年末は翌年度の予算の検討が始まり、冬が山の部門もあります)。
職種別・部門別・勤務地別の業務内容そのものは、商社の職種は何があるか|営業・事業投資・コーポレートと勤務地の違いにまとめています。
入社する時期によって、最初に任される仕事は変わります(4月入社なら期初の計画づくりから、10月入社なら上期の数字を引き継いだところから)。
面接で「うちの仕事の1年をどうイメージしていますか」と聞かれたら、年度末の追い込みと決算開示の前後の動きを自分の言葉で話せるようにしておくと、業界の外から来た人でも中を見ている印象になります。
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