商社はなぜ必要とされるのか|社会的役割と「いらない」と言われる理由

商社はなぜ必要とされるのか|社会的役割と「いらない」と言われる理由 商社の選び方

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この記事で分かること

「商社は結局なにをしている会社なのか」「なぜ商社はいらないと言われるのか」を知りたい就活生・転職検討者に向けて書きました。

・総合商社の正体は「モノを売るだけの会社」ではなく、投資・物流・金融・情報まで手がける「総合事業会社」だと分かります・「商社はいらない」と言われる理由と、それでも商社が残っている3つの理由(与信と資金・物流と品質の責任・事業そのものの所有)が分かります・エネルギー自給率16.4%の日本で商社が担う資源確保の役割と、脱炭素投資の見直しなど最近の動きも押さえられます

はじめに

「商社って何をしている会社なの?」 「インターネットで直接取引できる時代に、なぜ商社が要るのか」 「商社は社会の中でどんな役割を担っているのか」

そんな疑問を持つあなたへ。

「モノを右から左に流すだけ」という古いイメージとは大きく異なり、現在の商社は投資事業やプロジェクト開発を行う「総合事業会社」として機能しています。

しかし、その複雑で多様な事業内容は、一般の人には理解しにくいのも事実です。

この記事では、商社がいま何で稼いでいるのかを一段だけ整理したうえで、社会の中で担っている役割と、業界の最新動向を見ていきます。

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商社とは何か、まずは一段だけ整理する

商社とは何か、まずは一段だけ整理する

商社は「売り手と買い手のあいだに入る会社」と説明されることが多いですが、その説明だけでは、いまの総合商社は分かりません。総合商社の利益の大きな柱になっているのは仲介の手数料ではなく、出資した事業会社から上がってくる持分利益です。三菱商事の2026年3月期でいえば、持分法による投資損益は4,679億円で、同期の親会社の所有者に帰属する当期利益8,005億円のおよそ6割にあたります(出典=同社の決算短信)。

この稼ぎ方の仕組みは商社とは何をする会社か|仲介ではなく事業投資で稼ぐ仕組み、流通・金融・情報の3機能と収益の関係は商社のビジネスモデルに分けて書いています。この記事では、その先の「では社会の中で何の役割を担っているのか」を扱います。

分類・部門・仕事の中身はそれぞれ別記事にあります

なぜ「商社はいらない」と言われるのか

なぜ「商社はいらない」と言われるのか

インターネットで直接取引ができる時代に、あいだに入る会社は要らない——この指摘は、商社について何度も繰り返されてきました。総合商社の数も減りました。ニチメンと日商岩井は2003年に持ち株会社をつくり、2004年に合併して双日になっています(同社「双日の歴史」)。それでも残った商社は、仲介以外の役割を引き受けてきました。

具体的には次の3つです。いずれも「つなぐ」だけでは説明できない仕事です。

  • 与信と資金:買い手の支払い能力を商社が引き受けることで、直接なら成立しない取引が動く
  • 物流と品質の責任:国をまたぐ輸送、通関、規格の適合を商社が負う
  • 事業そのものの所有:資源開発や発電、食品加工などに出資し、経営に入る

3つめが現在の利益の柱です。つまり商社は「取引をつなぐ会社」から「事業を持つ会社」へ移りました。事業を持つということは、その損得も引き受けるということです(開発を取り止めた例は、後の「最新動向」の章で触れます)。

商社の社会的役割

商社の社会的役割

商社が社会の中で担っている役割は、次の3つです。

資源とエネルギーを海外から確保する

日本のエネルギー自給率は2024年度で16.4%です。原油は中東地域に90%以上を頼り、鉱物資源はほぼ100%を輸入しています(資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2025年度版」)。同庁は、LNGについて調達先の多角化や権益の獲得を進めるとしています。

総合商社は、こうした資源の開発会社に出資し、長期契約で日本へ運ぶ役割を担ってきました。私自身、最初の配属は資源部門でした。どの国のどの案件に関わっているかは会社によって違うので、関心があれば各社の統合報告書で確かめてください。

メーカーと海外市場のあいだで、資金・物流・情報を引き受ける

メーカーが海外に売るとき、相手の支払い能力の確認や代金の回収、輸送と通関を自社だけで抱えるのは負担が大きく、そこを商社が引き受けます。前の章で書いた「与信と資金」「物流と品質の責任」です。その結果、海外に営業拠点や代金回収の仕組みを自前で持てない企業でも、海外と取引できるようになります。買う側にとっても、調達先を海外に広げやすくなります。

出資した事業を経営する

出資した事業会社に人を出し、現地で事業を回すことも商社の役割です。出資先は資源だけでなく、コンビニや食品、発電など暮らしに近い分野にも広がっています。どの会社に出資しているかは、各社の有価証券報告書の「関係会社の状況」や統合報告書で確かめられます。

商社の最新動向

商社の最新動向

ここ数年の動きで押さえておきたいのは、脱炭素への投資と、その見直しです。

見直しの例として、三菱商事は2025年8月、秋田県と千葉県の3海域で進めていた洋上風力発電所の開発を取り止めました。インフレや金利上昇などで事業環境が変わり、実行可能な事業計画を立てるのは難しいと判断したと説明しています。損失はそれまでの年度で大部分を計上済みとしています(同社ニュースリリース、2025年8月27日)。

脱炭素の分野で、この先どこが伸びるかは各社の見通しであって、確定した話ではありません。

商社で働くということ

商社で働くということ

この記事の本題からは少し外れますが、働く側から見た商社にも触れておきます。

私が見てきた範囲では、次の3つが求められます。

  • コミュニケーションと交渉力:海外の相手との契約交渉では、語学だけでなく、相手の商習慣を知っているかどうかで結果が変わります。
  • 広範な知識と柔軟性:資源から非資源まで扱う範囲が広いので、担当が変わるたびに学び直すことになります。
  • 数字の変化に耐える力:相場や為替が動けば、担当する事業の数字が一気に変わります。

多くは入社後の実務で鍛えられます。

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未経験から商社転職を目指す方は、未経験で商社に転職する準備の順番で具体的な転職戦略と選考対策を確認してください。

商社のキャリアは総合職と一般職で大きく異なります。一般職の年収とキャリアは、商社一般職の年収は450万〜800万円|会社別は非公表、総合職との差の見方にまとめています。

まとめ

最後に、この記事の要点をまとめます。

いまの総合商社の利益の柱は、仲介の手数料ではなく、出資した事業会社から上がってくる持分利益です。

「商社はいらない」と言われながら残っているのは、与信と資金、物流と品質の責任、事業そのものの所有という3つを引き受けたからです。

社会的な役割としては、エネルギー自給率16.4%の日本のために資源を確保して運ぶこと、メーカーと海外市場のあいだで資金・物流・情報を引き受けること、出資した事業を経営することの3つがあります。

最近の動きでは、脱炭素への投資を進める一方で、採算が見込めずに開発を取り止める案件もあります。事業を持つ会社になったぶん、その損得も自分で引き受けているということです。

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