商社30代の年収相場|総合商社と専門商社の差が生まれる理由

商社30代の年収相場|総合商社と専門商社の差が生まれる理由 商社の選び方

※このサイトはアフィリエイト商品や、PR商品も掲載されています。

この記事で分かること

30代で年収1,000万円超も現実的ですが、その達成には戦略と覚悟が必要だからこそ、転職前に知っておくべき全てをお伝えします。

・大手総合商社なら30代で年収800万〜1,800万円(課長になれば1,800万〜2,300万円)、専門商社は30代平均466万円(総合商社は著者の目安、専門商社はdoda) — 実績連動ボーナスと海外駐在手当が高年収を実現する仕組みを、30年以上の実務経験から解説します。・高年収の代償は時期による偏りと家族時間の制約 — 理想と現実のギャップ、そしてワークライフバランスの課題に、包み隠さずお答えします。・未経験から入る場合の提示額 — 決まり方と年収交渉の進め方を、人事部で中途採用の面接官を務めた立場から整理しています。

本記事の年収データについて
企業別の平均年収は、各社の2026年3月期 有価証券報告書に記載された「平均年間給与」に基づきます。年代別・年次別・役職別の金額は、どの商社も公表しておらず、有価証券報告書や公的統計から計算で出せるものでもありません。本記事に出てくるこれらの金額は、著者が商社30年以上で見てきた範囲の目安です。実際の金額は部門・評価・業績連動賞与によって上下します。

はじめに

商社の30代の年収がどのくらいになるのか、30歳と35歳でどれだけ違うのか、総合商社と専門商社でなぜ差がつくのかを、各社の公表値と、総合商社に30年以上勤めてきた私の目安を分けて整理します。

年代別・役職別の年収はどの商社も公表していません。この記事で出す30代の金額は私の見てきた範囲の目安で、会社ごとの数字は有価証券報告書の平均年間給与だけを使っています。

未経験から専門・総合商社への転職ノウハウは「専門商社と総合商社の選び方」をさらに詳しく解説しています。

PR

いずれも登録は無料です。提示年収・応募要件・勤務地は求人票に書かれているので、下の説明を読んで、自分に当てはまる1社から確かめてください。

サービス名 特徴 詳細・申込
Assign 20代〜30代ハイエンド層向け。いまの経験でいくら提示されるかが分かる 無料公式サイトを見る
リクルートエージェント 全年代・全職種対応。商社の求人がどれだけ出ているかが分かる 無料公式サイトを見る
パソナキャリア 幅広い年齢層・職種に対応。応募要件と学歴条件を見比べられる 無料公式サイトを見る
JAC Recruitment ハイクラス・ミドルクラス向け。管理職求人の提示年収が分かる 無料公式サイトを見る
Samurai Job グローバル・外資系の求人。海外勤務の有無と語学要件が分かる 無料公式サイトを見る
第二新卒エージェントneo 20代・第二新卒・既卒の未経験可。応募できる求人があるかが分かる 無料公式サイトを見る

大手商社の30代の年収

大手商社の30代の年収

▼30代大手商社社員の平均年収(総合職・推計)

大手総合商社5社では、30歳が800万〜1,200万円、30代前半(入社8〜12年目・課長代理クラス)が1,200万〜1,600万円、35歳で1,250万〜1,800万円、課長(入社13年目以降)になると1,800万〜2,300万円ほどです。いずれも著者が商社で見てきた範囲の目安で、会社ごとの平均年間給与はこのあとの「大手総合商社の年収ランキング」の表にまとめています。


これらの数字は、基本給に加えて賞与(年2回、場合によっては決算賞与)が含まれた年収です。
商社の賞与は業績に大きく左右されるため、好調な年は年間賞与だけで数百万円になることもあります。

❗ただし、これらはあくまで総合職・本社勤務の場合です。
海外駐在や特定部門での成果次第では、同年代でも年収に数百万円の差がつくこともあります。

高い年収の裏には、業務のスケールの大きさ、海外駐在の手当、業績に連動する賞与があります。その分、責任の重さや時期による業務の偏りも大きくなります。


一方で、責任の重さや業務量の多さ、時期による業務の偏りといった負担も比例して大きくなります。
商社での高年収は「楽して稼げる」というより、「高い責任と成果に対する報酬」と考えるのが現実的です。

30歳と35歳では金額がまるで違う|同じ30代でも500万円以上の幅がある

30歳と35歳では金額がまるで違う|同じ30代でも500万円以上の幅がある

「商社の30代は1,000万円」とよく言われますが、30代のどこを指しているかで金額はまるで変わります。著者が商社で見てきた範囲では、両端はこれだけ離れています。

年齢大手総合商社5社の目安
30歳800万〜1,200万円
35歳1,250万〜1,800万円

大手総合商社5社の目安で見ると、30歳の800万円前後から35歳の1,800万円前後まで、同じ30代の中で1,000万円ほどの幅があります。「30代で1,000万円」という言い方は、30代のはじめのほうを指した表現だと考えてください。なお上の金額はいずれも著者の経験にもとづく目安であり、公式な統計ではありません。

30歳ちょうどではいくらか|800万〜1,200万円が目安

30歳時点は、大手総合商社で800万〜1,200万円が目安です(著者が見てきた範囲)。各社の平均年間給与は平均年齢42〜43歳の社員全員の数字なので、30歳がそれを大きく下回るのは自然なことです。平均年収が2,000万円を超える会社で30歳が1,000万円前後になる理由や、平均値と実感がずれる仕組みについては大手商社30歳の年収で詳しく説明しています。

世の中の30代とはどれくらい違うのか

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、所定内給与額は30〜34歳が男女計31万2,300円(男性33万400円・女性28万3,200円)、35〜39歳が34万600円(男性36万6,200円・女性29万2,400円)です(第2表「性、年齢階級別賃金」)。これは調査年6月分の所定内給与額で、賞与も残業代も含みません。商社に近い産業分類である「卸売業,小売業」に限ると、30〜34歳が男女計30万2,200円(男性31万6,900円・女性27万9,300円)、35〜39歳が33万6,700円(男性36万5,200円・女性28万3,100円)で、全産業とほぼ同じ水準です(第5-1表・第5-2表「産業、年齢階級別賃金」)。役職別では部長級63万5,800円・課長級52万9,200円・係長級39万9,200円でした(第8表、全産業の男女計)。

賞与まで含めた年間の金額では、国税庁の「令和7年分 民間給与実態統計調査」で、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が487万円、正社員に限ると559万円、男性は597万円でした(いずれも全年齢の平均)。大手総合商社の30代前半1,200万〜1,600万円は、全体平均487万円のおよそ2.5〜3.3倍、正社員平均559万円のおよそ2.1〜2.9倍にあたります。

業界全体の給与水準|まず相場を押さえる

業界全体の給与水準|まず相場を押さえる

総合商社の30代年収相場

総合商社における30代の年収相場は以下の通りです。

▼30代前半(30〜34歳)の年収(いずれも推計)

  • 主任・係長クラス:800万円〜1,200万円
  • 課長代理クラス:1,200万円〜1,600万円
  • 34〜35歳で早めに上がった人:1,250万円〜1,800万円

▼30代後半(35〜39歳)の年収(いずれも推計)

  • 課長クラス:1,800万円〜2,300万円(課長は入社13年目以降が目安で、30代で就く人はその下限側です)
  • 部長代理クラス:30代で就く人はごく少数のため、30代の相場として示せる金額がありません
  • 海外駐在中:住宅・子女教育などの手当が加わるため手取りは増える。ただし手当の実額を公表している商社は1社もなく、倍率で示せる数字もありません(増え方は赴任先の国・家族構成・その年の為替で変わります)

これらの数字は、大手総合商社5社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)を基準としています。

私が実際に見てきた同僚たちの年収を振り返ると、この水準は決して誇張ではありません。

30代から40代へのキャリアの繋がりと年収推移については、商社40歳の年収で、40歳時点での年収実態と年収を左右する要因を詳しく解説しています。

専門商社の30代年収事情

一方、専門商社の30代の年収は総合商社より低く、会社の規模や分野による差も大きくなります。

▼専門商社の30代の年収

  • 30代:平均466万円(doda「平均年収ランキング(2025年)」の専門商社。中小企業も含んだ平均)
  • 課長クラス:850万〜1,100万円(著者が見てきた範囲の目安)
  • 上場している主要な専門商社14社の平均年間給与は802万〜1,190万円(平均943万円・平均40.5歳)で、会社の規模によって大きく変わります

専門商社は扱う商材が特定分野に限定されているため、その分野での専門性が年収に大きく影響します。

注意すべき点として、これらの年収には残業代やボーナスが含まれており、実際の労働時間を考慮する必要があります。

商社の年収が高い理由

商社の年収が30代で高額になる背景には、以下の要因があります。

▼商社の高年収を支える要因

  • グローバルビジネスの収益性:世界規模の取引と事業投資から上がる利益
  • 投資事業からの収益:トレーディングだけでなく、事業投資による長期的収益
  • 人材の希少性:語学力と商取引スキルを併せ持つ人材の希少価値
  • 高い責任とプレッシャー:億単位の取引を扱う責任に見合った対価

なぜ高いのか|商社特有の構造

なぜ高いのか|商社特有の構造

商社の収益源は、商品の売買で得るマージン、事業投資から得る持分利益や配当、物流・金融などの付帯サービスです。給与は基本給に、個人と部門と会社全体の業績に連動する賞与が加わる形で、30代ではこの業績連動の部分が年収を大きく左右します。

30代で海外駐在に出ると、住宅や子女教育などの手当が加わり、赴任中の収入は増えます。ただし手当の実額も倍率も、各社とも公表していません。

本記事の倍率・通過率・比率について
選考倍率、書類選考・面接の通過率、離職率、育児休業取得率などの数値のうち、企業や公的機関が公表しているものは出典を明記しています。出典の記載がないものは、著者が商社30年以上(うち人事部で新卒採用・中途採用の面接官を経験)で見てきた実感と、転職支援サービス各社が公開している情報をもとにした目安であり、公式な統計ではありません。企業・部門・年度によって変動します。

早期昇進システムの存在

商社業界では評価による差がつきやすく、30代での早期昇進が年収に大きく影響します。

▼商社の昇進スピード例(昇進の年次を公表している商社はなく、著者が見てきた範囲の目安)

  • 優秀者:30歳で課長代理、35歳で課長昇進
  • 標準的:32歳で課長代理、37歳で課長昇進
  • 遅れ気味:35歳で課長代理、40歳で課長昇進

昇進が数年早いか遅いかは、その後の基本給と賞与の水準に効いてくるため、生涯で見ると差は小さくありません。ただし「何年早ければいくら違う」という試算は前提の置き方で大きく変わるので、金額での断定は避けます。

ただし、この競争の激しさは相当なプレッシャーとなり、心身への負担も大きいことを理解しておく必要があります。

総合商社5社の比較|各社の特徴と水準

総合商社5社の比較|各社の特徴と水準

総合商社の年収を30代で比較する際、各社の特徴と給与水準を理解することが重要です。

各社が有価証券報告書で公表している平均年間給与をもとに整理します。

大手総合商社の年収ランキング

商社15社の平均年間給与を比較しました。年代別の年収は各社とも公表していないため、会社ごとの30代の金額は載せていません。

順位商社名平均年間給与(2026年3月期・全社員)平均年齢
1三菱商事2,113万円42.3歳
2三井物産2,059万円42.0歳
3伊藤忠商事1,991万円42.0歳
4住友商事1,840万円43.3歳
5丸紅1,784万円42.5歳
6豊田通商1,421万円43.0歳
7双日1,257万円40.5歳
8兼松1,202万円37.7歳
9長瀬産業1,190万円41.2歳
10蝶理1,036万円39.7歳
11岩谷産業1,021万円39.8歳
12稲畑産業1,006万円40歳11ヶ月
13伊藤忠エネクス1,001万円41.3歳
14阪和興業998万円37.4歳
15神鋼商事974万円39.3歳

▼総合商社5社の平均年間給与と特徴(2026年3月期・有価証券報告書)

  • 1位:三菱商事
    • 平均年間給与:2,113万円(平均年齢42.3歳・2026年3月期)
    • 特徴:上の表の15社の中で平均年間給与が最も高い
  • 2位:三井物産
    • 平均年間給与:2,059万円(平均年齢42.0歳・2026年3月期)
    • 特徴:金属資源・エネルギーなど資源分野の比重が大きい
  • 3位:伊藤忠商事
    • 平均年間給与:1,991万円(平均年齢42.0歳・2026年3月期)
    • 特徴:非資源分野に強み。2026年3月期の連結当期純利益は9,003億円で7大商社の中で最大(決算短信)
  • 4位:住友商事
    • 平均年間給与:1,840万円(平均年齢43.3歳・2026年3月期)
    • 特徴:鉄鋼、自動車、インフラ、不動産など幅広い分野に事業を持つ
  • 5位:丸紅
    • 平均年間給与:1,784万円(平均年齢42.5歳・2026年3月期)
    • 特徴:電力・インフラ分野に強み

年代別・役職別の年収は各社とも公表していません。上の表とリストの金額は、2026年3月期の有価証券報告書に記載された平均年間給与(全社員の平均)です。前の章の30代の目安は、著者が商社30年以上のあいだに見てきた範囲の目安で、公式な統計ではないため会社ごとの金額としては載せていません。実際の金額は部門・評価・業績連動賞与によって上下します。

35歳という節目における年収の詳細分析は「35歳の商社年収」で詳しく解説しています。

各社の給与制度は公表されていません

どの商社も、基本給と賞与の配分や手当の名称・金額を公表していません。

公表資料から確実に言えるのは、次の3点です。

▼有価証券報告書から分かること
・平均年間給与(賞与・基準外賃金を含む)と平均年齢・平均勤続年数
・この平均は42〜43歳時点の数字であり、30代の実額ではない
・年度によって数百万円単位で動く。資源価格や為替の影響を受けるため、好調年の数字をそのまま将来の見込みにはできない

会社ごとの違いを知りたいときは、手当の有無ではなく、事業ポートフォリオ(資源比率が高いか、非資源中心か)と直近数年の平均年間給与の推移を見るほうが確かです。資源比率の高い会社ほど年度による振れ幅が大きくなります。

面接の場で待遇を確認する場合も、「基本給と賞与の比率」「賞与の評価反映の仕組み」「海外赴任時の処遇」は選考が進んでから人事に直接聞くのが確実で、社外に出回っている手当の情報は当てになりません。

準大手商社の年収事情

5大商社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)以外の準大手商社でも、30代で相当な年収を期待できます。

▼準大手商社の平均年間給与(2026年3月期・有価証券報告書)

  • 豊田通商:平均年間給与1,421万円(平均年齢43.0歳)
  • 双日:平均年間給与1,257万円(平均年齢40.5歳)
  • 兼松:平均年間給与1,202万円(平均年齢37.7歳)

これらの商社は特定分野に強みを持ち、その専門性により高い年収を実現しています。

ただし、5大商社と比べると、海外駐在の機会や事業の幅に差がある場合もあります。

専門商社との違い|どこで差がつくか

専門商社との違い|どこで差がつくか

専門商社の年収水準と特徴

専門商社は特定分野に特化することで、その専門性に応じた年収を実現しています。

専門商社の年収は扱う商材や市場規模によって大きく異なります。

▼分野別に見た専門商社の水準(金額はいずれも有価証券報告書の平均年間給与・全社員平均)

  • ITシステム系:専門商社のなかでは上位。ただし分野別の年収を公表している会社はありません
  • 化学・医薬品系:長瀬産業1,190万円・稲畑産業1,006万円と、専門商社では最上位(2026年3月期の有価証券報告書・全社員平均)
  • 鉄鋼・金属系:阪和興業998万円・神鋼商事974万円(同上)。平均年齢が若い会社が多い
  • 食品・農業系:伊藤忠食品が2026年5月に上場廃止となり、比べられる公表値がありません
  • 繊維・アパレル系:蝶理1,036万円(2026年3月期)。会社による差が大きい分野です

これらは各社の有価証券報告書に載っている平均年間給与です(全社員の平均で、30代の実額ではありません)。

専門商社の強み:専門性による高収益

専門商社では、特定分野での深い専門知識が年収に直結します。

ITシステム系商社の場合

この分野で年収に効くのは、次のような要素です。

  • メーカーと顧客の間で技術仕様を詰められること(単なる仲介ではなく提案ができるか)
  • 扱う製品の粗利率。技術的な提案ができるかどうかで利幅が変わり、給与水準にも表れやすい
  • 上場企業であれば、有価証券報告書の平均年間給与が確認できます。求人票の提示額と併せて見てください

化学・医薬品系商社の場合

こちらも手当の名称・金額は公表されていません(なお「薬事法」は2014年に医薬品医療機器等法=薬機法へ改正されています)。この分野で評価されるのは次の点です。

  • 薬機法・GMP・化審法など規制まわりの実務を理解していること
  • 原薬・中間体の海外調達や、各国の認証・登録手続きの経験
  • 規制対応は代わりが利きにくいため、転職市場では専門性として評価されやすい領域です

総合商社との年収比較

専門商社と総合商社の年収を30代で比較すると、以下のような違いがあります。

▼総合商社vs専門商社の年収比較(30代)

項目総合商社専門商社30代の年収800万〜1,800万円(著者の目安)平均466万円(doda)年収の差会社の中での幅が広い会社の規模による差が大きい海外駐在機会多い限定的専門性評価幅広さ重視深さ重視

総合商社の方が年収の水準も上限も高く、専門商社は会社の規模や分野によって差が大きくなります。

専門商社では、特定の分野の専門家として深めるか、営業チームや事業部門の管理職に進むのが主な道です。専門性が身につき、会社によっては働き方が落ち着いている一方で、年収の上限や海外駐在の機会は総合商社より限られ、業界の市況にも左右されやすくなります。

年収を上げるキャリア戦略

年収を上げるキャリア戦略

30代前半は、得意分野をはっきりさせ、語学を磨き、小さくてもチームを率いる経験を積む時期です。この時期の積み上げが、30代後半以降の昇進と年収に効いてきます。

海外駐在は、赴任中の手当だけでなく、帰国後に任される仕事の幅にも影響します(帰国後の昇進や昇給の幅を公表している商社はありません)。損益に責任を持つ立場の経験や、事業投資・M&Aへの関与は、社内の評価だけでなく転職市場での価値も高めます。

未経験からの転職|目指せるレンジと現実

未経験からの転職|目指せるレンジと現実

30代で業界未経験から商社に入る場合、提示額は前職の年収と入社時の等級で決まります。入社時の提示額を公表している商社はなく、最初は前職より下がる例もあれば、上がる例もあります。

前職の経験は、商社で生かせる形に置き換えて伝えます。金融出身なら財務分析と投資判断、メーカー出身なら製品知識と品質管理、コンサル出身なら論理的な整理とプロジェクトの推進、といった具合です。

準備は、なぜ商社なのかの整理、前職の経験の棚卸し、業界研究、語学(求人票の目安は730点・800点・850点の3段階。合否の基準スコアは各社とも非公表)の順に、3〜6か月かけて進める人が多いと感じます。家族がいる場合は、入社直後の年収の変化と、転勤・駐在の可能性も話し合っておいてください。

評価されるスキルと資格

評価されるスキルと資格

30代で年収に効いてくるのは、語学(とくに交渉や契約の場面で使える英語)、担当分野の専門知識、損益に責任を持つ立場でのマネジメント経験です。

貿易実務検定、通関士、中小企業診断士、公認会計士などの資格は、業務の中で頼りにされる場面を増やしますが、資格そのもので年収が決まるわけではありません。語学手当や資格手当の金額も各社とも公表していません。

地域別・職種別に見た差

地域別・職種別に見た差

勤務地や職種、担当商材で年収を公表している商社はありません。私が見てきた範囲では、勤務地そのものより、役職と評価、海外駐在の有無、担当分野の市況で差がつきます。資源・エネルギーのように市況が良い年に賞与が大きく動く分野もあれば、管理部門のように変動が小さく安定した分野もあります。

同じ30代でも数百万円の幅が出るのは、昇進の早さ、担当分野、駐在の有無、代えのきかない専門性の有無によるものです。学歴別の年収を公表している商社もありません。

大手商社全体の年収体系や年代別の年収推移については、商社の年収を総合・専門で比較|年代別の目安と海外駐在の手当で解説しています。

高年収の代償|ワークライフバランスの実態

商社の労働時間の実態

「商社は激務」というイメージが先行しますが、各社が公表している数字を見ると、いま実際に記録されている残業時間はそれほど長くありません。

  • 三菱商事:月平均11.4時間(2025年度・法定8時間を超える部分。同社ESGデータ。有給取得率73%)
  • 三井物産:月平均28.4時間
  • 伊藤忠商事:月平均約10時間
  • 住友商事:月平均9時間51分
  • 丸紅:月平均16.7時間(26/3期・単体)

私自身が30代だった頃は月80時間を超える月も珍しくありませんでしたが、それは働き方改革以前の話です。2019年の労働時間の上限規制以降、記録される時間そのものが変わりました。

ただし、この平均値だけで判断しないでください。海外との時差対応、案件の山場、決算期など、時期によって偏りが出るのはいまも変わりません。会社平均が月20時間台でも、忙しい部署の忙しい月がその倍になることはあります。

部門別の労働時間を公表している商社はありません。営業や投資の部門は出張や案件の山場に合わせて忙しさが動き、企画や管理の部門は予算や決算の時期に山が来ます。30代は家庭との両立が課題になりやすく、共働きなら海外駐在の打診が配偶者のキャリアにも影響します。

商社各社のワークライフバランス改善取り組み

最近の商社各社は、ワークライフバランス改善に積極的に取り組んでいます。

▼各社に共通して見られる取り組み(個別の制度名は各社の公表資料でご確認ください)

  • 有給取得の促進:取得率の目標を掲げる会社が増えている
  • 朝型勤務・残業上限:伊藤忠商事の朝型勤務は同社が公表している代表例
  • テレワーク・フレックスタイム:各社とも制度としては整ってきた
  • メンタルヘルス支援:相談窓口や産業医面談の体制
  • ダイバーシティ・女性活躍:男性育休の取得率は丸紅91.9%・三井物産93%と各社が公表している

これらの取り組みにより、従来よりは改善されていますが、根本的な解決には時間がかかりそうです。

年収を求めるほどプライベートの時間は制約されやすくなります。管理部門への異動や専門商社への転職など、働き方を重視した選び方もあります。長く高い年収を保つには、30代のうちからの健康管理が欠かせません。

年収交渉のすすめ方

年収交渉のすすめ方

年収の交渉は、内定後の条件面談で行うのが一般的です。前職での成果を数字で示し、商社で何に貢献できるかを根拠にして、希望額は幅を持たせて伝えます。年収だけでなく、等級と職責、入社日も同じ場で確かめてください。

最初から年収の話ばかりする、根拠のない高額を求める、他社の条件と単純に比べる、といった進め方は逆効果です。入社時の提示が期待より低くても、入社後の評価と昇進で取り戻す道はあります。

高年収を維持できるか|リスクと将来設計

高年収を維持できるか|リスクと将来設計

商社の年収は業績に連動するため、資源価格や為替、地政学の変化で業績が落ちれば下がります。基本給と賞与の配分は各社とも公表していませんが、この構造はどの会社にも共通します。30代のうちに生活費の数か月分の現金を確保し、商社以外でも通用する力(財務、語学、事業投資の経験など)を磨いておくと、将来の選択肢が広がります。

NISA(少額投資非課税制度)の年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)と、iDeCo(個人型確定拠出年金)の枠を活用し、インデックス投資を中心とした長期投資を心がけましょう。iDeCoの掛金上限は会社員の場合、企業年金がなければ月2万3,000円、企業年金があれば月2万円が現行の額です(年額81.6万円は自営業者の枠で、会社員には当てはまりません)。2026年12月1日施行の改正で、企業年金のない会社員は月6万2,000円、企業年金のある人は6万2,000円から事業主掛金などを引いた額に引き上げられます(掛金の引き落としは2027年1月26日分以降)。自分の枠は勤務先の企業年金制度によって変わるので、人事か運営管理機関に確認してください。

50代以降は役職を離れて年収が下がることもあります。役職定年の有無や年齢を公表している商社はないので、応募時や社内で確かめてください。

定年を迎えるときの退職金の目安は、商社の退職金はいくら|5社別の実情とモデル2,559万円での概算をご参照ください。

まとめ|30代の年収をどう活かすか

まとめ|30代の年収をどう活かすか

大手総合商社の30代の年収は、30歳で800万〜1,200万円、35歳で1,250万〜1,800万円が目安です(私の見てきた範囲)。会社ごとの公表値は平均年間給与(5大商社で1,784万〜2,113万円・平均42〜43歳)だけです。

専門商社の30代の平均は466万円(doda)で、上場している専門商社でも平均年間給与には802万〜1,190万円の幅があります。総合商社との差は、事業の規模、海外駐在の機会、業績連動の賞与の大きさから生まれます。

高い年収は業績に連動して動き、時期による業務の偏りも伴います。30代のうちに、商社以外でも通用する力と、家計の備えを整えておくことが、長い目で見た安定につながります。

あわせて読みたい

※このサイトはアフィリエイト商品や、PR商品も掲載されています。

タイトルとURLをコピーしました