はじめに
「総合商社で働いてみたいけれど、営業以外の職種はあるの?」 「内部監査って具体的にどんな仕事をするんだろう?」 「未経験でも総合商社の内部監査部門に転職できるのかな?」
このような疑問を抱いている方は多いのではないでしょうか。
商社勤務30年の経験を持つ私が見てきた中で、近年特に注目を集めているのが「総合商社の内部監査部門」への転職です。 なぜなら、グローバル化が進む現代において、リスク管理やコンプライアンス(法令遵守)の重要性が飛躍的に高まっているからです。
総合商社の内部監査部門は、会社の「健康診断」を行う重要な役割を担っており、経営陣から高い信頼を得られる職種です。
内部監査とは、簡単に言えば「会社が正しく運営されているかをチェックする仕事」です。 総合商社のように世界中でビジネスを展開する企業では、各拠点が法律や社内ルールを守って業務を行っているかを確認する必要があります。
この記事では、未経験から総合商社の内部監査部門への転職を目指す方に向けて、以下の内容を詳しく解説していきます。
▼この記事で分かること
- 総合商社内部監査の具体的な仕事内容
- 未経験者が転職を成功させるためのスキルと準備
- 年収相場や待遇面のリアルな情報
- 各商社の内部監査部門の特徴と転職難易度
- 実際の転職体験談と成功・失敗事例
30年間商社の現場で働いてきた経験から、建前ではない本当に役立つ情報をお伝えします。 ぜひ最後まで読んで、あなたの転職成功に役立ててください。
総合商社の内部監査への転職が今注目される理由

近年、総合商社の内部監査部門への転職希望者が急増しています。 その背景には、ビジネス環境の大きな変化があります。
2020年以降、企業のガバナンス(企業統治)やリスク管理に対する社会的な要求が格段に厳しくなりました。
まず、ESG経営(環境・社会・ガバナンス)の重要性が高まったことが大きな要因です。 ESG経営とは、Environmental(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の3つの観点から企業価値を評価する考え方で、投資家や取引先からの注目度が非常に高くなっています。
総合商社は世界中で多様な事業を展開しているため、各地域の環境規制や労働法規、腐敗防止法などを遵守する必要があります。 これらの法令遵守状況をチェックし、リスクを未然に防ぐのが内部監査部門の重要な役割です。
私が商社に入社した30年前と比べると、内部監査部門の地位と影響力は格段に向上しました。 当時は「後方支援部門」という位置づけでしたが、現在では「経営の最前線でリスクをコントロールする戦略部門」として認識されています。
▼内部監査が注目される具体的な理由
- グローバル規制の強化(FCPA、UK Bribery Act等の海外腐敗防止法)
- デジタル化に伴うサイバーセキュリティリスクの増大
- サプライチェーン全体での人権・環境配慮の必要性
- 株主・投資家からの透明性向上要求
また、働き方の観点からも内部監査は魅力的な職種となっています。 営業部門のような深夜残業や接待は基本的になく、ワークライフバランスを保ちながら専門性を高められます。
❗ただし、内部監査は「会社の問題点を指摘する役割」でもあるため、他部署との調整能力やコミュニケーションスキルが重要になります。
転職市場においても、内部監査経験者の需要は右肩上がりです。 一度総合商社で内部監査のスキルを身につければ、他の大手企業や外資系企業への転職も有利になります。
さらに、公認会計士や公認内部監査人(CIA)などの資格取得支援制度も充実しており、キャリアアップの道筋が明確に見える点も人気の理由の一つです。
内部監査とは?総合商社における役割と重要性

内部監査という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような仕事をするのかイメージできない方も多いでしょう。 まずは内部監査の基本的な定義から説明していきます。
内部監査とは、組織の内部に設置された独立的な部門が、その組織の業務プロセスやリスク管理体制、内部統制システムの有効性を客観的に評価・検証する活動です。 簡単に言えば、「会社が健全に運営されているかをチェックする仕事」ということになります。
総合商社の内部監査は、他の業界と比べて格段に複雑で高度な専門性が求められます。
その理由は、総合商社のビジネスモデルの特殊性にあります。 総合商社は「ラーメンから航空機まで」と表現されるように、あらゆる商品・サービスを扱い、世界中に拠点を持っています。
▼総合商社が抱える主なリスク
- 信用リスク(取引先の倒産リスク)
- 市場リスク(為替・金利・商品価格変動リスク)
- オペレーショナルリスク(業務プロセスの不備によるリスク)
- レピュテーションリスク(企業の評判に関わるリスク)
- カントリーリスク(投資先国の政治・経済情勢によるリスク)
私が内部監査部門と連携して仕事をした経験から言えば、総合商社の内部監査担当者は「企業のお医者さん」のような存在です。 定期的に会社の「健康状態」をチェックし、問題があれば早期に治療法を提案します。
具体的な業務内容は以下の通りです。
まず、業務監査では各部門の業務プロセスが適切に行われているかをチェックします。 例えば、新規投資案件の稟議プロセスが社内規定に従って行われているか、契約書の内容に問題がないかなどを確認します。
次に、財務報告監査では、財務諸表の作成プロセスや会計処理の妥当性を検証します。 特に海外子会社の財務報告については、現地の会計基準と日本の会計基準の違いも考慮する必要があります。
IT監査も重要な分野です。 システムのセキュリティ対策やデータ管理体制、システム障害時の対応手順などを評価します。
❗総合商社の内部監査で最も難しいのは、多様な事業領域と複雑な組織構造を理解することです。
商社の組織は、商品部門(鉄鋼、機械、化学品など)と地域部門(アジア、欧米、中南米など)のマトリックス構造になっています。 さらに、連結子会社だけで数百社を抱える場合もあり、それぞれの事業特性を理解して監査を行う必要があります。
しかし、だからこそ総合商社の内部監査経験は非常に価値が高いのです。 一つの会社で多様な業界・地域のビジネスを学べるため、転職市場での評価も高くなります。
内部監査部門は通常、社長直轄の組織として設置され、他の部門から独立した立場で業務を行います。 これにより、客観的で公正な監査を実施できる体制が整っています。
総合商社内部監査の具体的な仕事内容と業務範囲

総合商社の内部監査担当者の1日を追いながら、具体的な仕事内容を見ていきましょう。
朝一番に行うのは、前日に受信したメールの確認です。 海外拠点からの報告書や、各部門からの監査対応状況報告などを確認し、優先順位をつけて対応します。
総合商社の内部監査は、国内外の多様な拠点を対象とするため、タイムゾーンを超えたコミュニケーションが日常的に発生します。
午前中は監査計画の策定作業を行います。 年間監査計画に基づいて、今月実施する監査の詳細スケジュールを調整し、監査対象部門との調整を行います。
例えば、アジア地域の資源事業部門を監査する場合、以下のような準備が必要です。
▼監査準備の具体例
- 過去の監査結果と改善状況の確認
- 最新の業界動向と規制変更の調査
- 監査チームメンバーの役割分担決定
- 現地拠点との日程調整
- 必要書類のリストアップと事前収集
午後は実際の監査作業を行います。 監査対象部門の担当者とのインタビューを通じて、業務プロセスの詳細を確認します。
私が実際に見てきた中で印象的だったのは、ある内部監査担当者が新興国の子会社で発見した不正事例でした。 現地スタッフが売上を水増しして報告していたのですが、細かな帳簿のチェックと現地訪問によって問題を発見し、早期に対処することができました。
❗内部監査の仕事で最も重要なのは、「問題を見つけること」ではなく「問題を解決に導くこと」です。
問題点を指摘するだけでは意味がありません。 なぜその問題が発生したのか根本原因を分析し、再発防止策を提案することが求められます。
夕方以降は監査結果の取りまとめ作業を行います。 監査で発見した事項を分類し、リスクの重要度に応じて優先順位をつけて報告書を作成します。
▼監査報告書の主な構成
- エグゼクティブサマリー(経営陣向けの要約)
- 監査の概要(対象範囲、実施期間、監査手法)
- 発見事項の詳細(問題点と根本原因の分析)
- 改善提案(具体的な対策案と実施時期)
- フォローアップ計画(改善状況の確認方法)
月末には、監査委員会や取締役会での報告資料を作成します。 経営陣に対して、会社全体のリスク状況や内部統制の有効性について報告を行います。
総合商社の内部監査担当者に求められるスキルは多岐にわたります。
まず、会計・財務の知識は必須です。 財務諸表を読み解き、会計処理の妥当性を判断できる能力が求められます。
次に、法務知識も重要です。 会社法、金融商品取引法、外為法などの国内法規に加え、海外の主要な法規制についても理解が必要です。
IT知識も近年重要性が増しています。 システム監査やサイバーセキュリティ対策の評価ができる能力が求められています。
そして最も重要なのは、コミュニケーション能力です。 様々な部門の担当者と円滑に協力し、建設的な改善提案ができる能力が不可欠です。
年間を通じて見ると、内部監査の仕事には季節性があります。 期末には財務報告監査が集中し、年度初めには新年度の監査計画策定作業が中心となります。
また、海外出張も頻繁にあります。 私の知る内部監査担当者の中には、年間の3分の1を海外で過ごす人もいました。 世界各地の拠点を直接訪問し、現地の業務実態を確認することが重要だからです。
未経験から総合商社内部監査への転職は可能?求められるスキル

「未経験でも総合商社の内部監査部門に転職できるのか?」 これは多くの転職希望者が抱く疑問です。
結論から言えば、未経験からの転職は可能です。 ただし、一定の条件と準備が必要になります。
総合商社の内部監査部門は、多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用しています。
私が30年間商社で働く中で見てきた内部監査担当者の経歴は実に多様でした。
▼内部監査転職者の主なバックグラウンド
- 公認会計士事務所出身(監査法人経験者)
- 銀行・証券会社の検査部門経験者
- メーカーの経理・財務部門経験者
- IT企業のシステム監査経験者
- コンサルティング会社出身者
- 官公庁の検査・監督部門経験者
未経験者でも転職しやすい理由の一つは、総合商社特有の事業領域の幅広さです。 どんな業界出身であっても、その専門知識を活かせる分野が必ずあります。
例えば、自動車メーカー出身の方であれば、商社の自動車事業部門の監査で専門性を発揮できます。 IT企業出身であれば、デジタル化が進む商社のシステム監査で重宝されます。
❗ただし、未経験者が転職を成功させるためには、事前の準備が不可欠です。
まず、会計・財務の基礎知識は必須です。 最低限、簿記2級レベルの知識は身につけておく必要があります。 財務諸表を読み解き、基本的な会計処理を理解できることが求められます。
次に、内部監査に関する基礎知識の習得が重要です。 日本内部監査協会(IIA-Japan)が発行している「内部監査の専門的実施の国際基準」などを読んで、内部監査の基本的な考え方を理解しておきましょう。
英語力も重要な要素です。 総合商社は海外事業の比重が高いため、英語でのコミュニケーション能力が求められます。 TOEIC800点以上が一つの目安となります。
資格取得も転職に有利です。
▼内部監査転職に有利な資格
- 公認会計士(CPA)
- 公認内部監査人(CIA)
- 情報システム監査技術者(CISA)
- 中小企業診断士
- 簿記1級・2級
- 証券アナリスト(CMA)
私がアドバイスしたい最も重要なポイントは、「なぜ内部監査の仕事に興味を持ったのか」を明確にすることです。 面接では必ずこの質問をされますし、転職後のモチベーション維持にも関わってきます。
内部監査の仕事の魅力は、会社全体を俯瞰的に見ることができる点にあります。 営業や財務などの特定部門で働いているだけでは見えない、会社の全体像を把握できます。
また、問題発見と改善提案を通じて、会社の成長に直接貢献できる達成感があります。 自分が指摘した問題点が改善され、会社のリスク軽減につながったときの充実感は格別です。
未経験者が転職活動で注意すべき点もあります。
まず、転職エージェントの選び方です。 総合商社の内部監査ポジションは求人数が限られているため、商社に強いエージェントを選ぶことが重要です。
次に、応募書類の準備です。 職務経歴書では、これまでの経験がどのように内部監査業務に活かせるかを具体的に記載しましょう。
面接対策では、総合商社の事業内容や最近のニュースについて必ず情報収集しておきましょう。 ESG経営やデジタル化など、現在の商社が直面している課題についても理解を深めておくことが大切です。
転職活動期間は通常3~6ヶ月程度を見込んでおく必要があります。 内部監査のポジションは欠員が出た時の補充採用が中心となるため、タイミングも重要な要素となります。
総合商社内部監査転職の年収相場と待遇面のメリット

総合商社への転職を検討する際に、多くの方が気になるのが年収や待遇面の条件です。 内部監査部門の年収相場について、私が把握している実際のデータをもとに詳しく解説します。
総合商社の内部監査部門の年収は、同業他社と比較して非常に競争力のある水準に設定されています。
まず、新卒入社後の年収推移から見てみましょう。 総合商社の内部監査部門に配属された場合、入社3年目で年収600~700万円、5年目で800~900万円程度が相場となります。
中途採用の場合、経験とスキルによって大きく変動しますが、以下が目安となります。
▼内部監査中途採用の年収相場(2025年時点)
- 未経験者:600~800万円
- 経験3~5年:800~1,200万円
- 経験5~10年:1,200~1,500万円
- マネジャークラス:1,500~2,000万円
- 部長クラス:2,000万円以上
私が実際に見てきたケースでは、公認会計士資格を持つ監査法人出身者が、転職1年目から年収1,000万円を超える条件で入社した例もありました。
総合商社の給与体系は、基本給と賞与の組み合わせになっています。 賞与は会社業績と個人評価によって決まりますが、内部監査部門は比較的安定した評価を得やすい部門です。
❗ただし、年収だけでなく、総合的な待遇面のメリットを理解することが重要です。
総合商社の内部監査部門で働くメリットは年収以外にも数多くあります。
まず、福利厚生の充実度です。 住宅手当、交通費、健康保険、企業年金など、基本的な福利厚生はもちろんのこと、総合商社ならではの制度も充実しています。
▼総合商社特有の福利厚生制度
- 海外赴任時の住宅・教育費全額支給
- 年1回の一時帰国費用支給(海外赴任者)
- 語学研修制度(会社負担での留学機会)
- 資格取得支援制度(受験料・研修費用の会社負担)
- カフェテリアプラン(選択型福利厚生)
- 社員持株制度(株式購入時の奨励金支給)
特に注目すべきは、キャリア開発支援の充実度です。 総合商社は人材育成に非常に力を入れており、内部監査担当者のスキルアップも積極的に支援します。
資格取得支援では、公認内部監査人(CIA)や公認会計士(CPA)などの高難度資格についても、受験料や研修費用を会社が負担してくれます。 私が知っている例では、働きながら公認会計士資格を取得し、その後監査法人に転職して年収2,000万円を超えた方もいました。
研修制度も充実しています。 新入社員研修、階層別研修、専門スキル研修など、体系的な教育プログラムが用意されています。
海外研修の機会も豊富です。 内部監査担当者は海外拠点の監査のため頻繁に出張しますが、それとは別に、海外の監査法人や企業での研修機会も提供されます。
ワークライフバランスの観点でも、内部監査部門は比較的恵まれています。 営業部門のような深夜残業や週末出勤は基本的にありません。
私の経験では、内部監査部門の平均残業時間は月20~30時間程度でした。 監査の繁忙期(期末など)にはやや増加しますが、それでも月40時間を超えることは稀です。
有給休暇の取得率も高く、年間20日の有給休暇のうち15日以上を取得する人がほとんどです。 海外出張が多い分、代休制度も充実しており、メリハリのある働き方が可能です。
将来的なキャリアパスの選択肢も豊富です。 内部監査で培った知識とスキルを活かして、以下のようなキャリアを歩むことができます。
▼内部監査経験者の主なキャリアパス
- 経営企画部門への異動(戦略立案業務)
- 財務部門への異動(IR・企業価値向上業務)
- 海外子会社の経営管理責任者
- 監査法人への転職(シニアマネジャー以上)
- コンサルティングファームへの転職
- 他社の内部監査部門長
退職金制度も手厚く、勤続年数に応じて基本給の数十ヶ月分が支給されます。 また、企業年金制度により、退職後の生活基盤も安定しています。
社内での地位や影響力も年収に見合ったものがあります。 内部監査部門は社長直轄の組織として位置づけられているため、若手でも経営陣と直接コミュニケーションを取る機会があります。
この経験は他では得難いものであり、将来の転職活動でも大きなアピールポイントになります。
総合商社各社の内部監査部門比較と転職難易度

総合商社と一口に言っても、各社の内部監査部門にはそれぞれ特色があります。 転職を成功させるためには、各社の違いを理解し、自分に適した会社を選ぶことが重要です。
大手総合商社7社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日、豊田通商)の内部監査部門にはそれぞれ異なる特徴があります。
まず、三菱商事の内部監査部門について説明します。 三菱商事は総合商社の中でも最も規模が大きく、内部監査部門の人員も最多です。 約50名の内部監査担当者が在籍し、高度に専門化された組織構造を持っています。
三菱商事の内部監査部門の特徴は、監査の国際基準への準拠度が非常に高いことです。 グローバルな監査法人との連携も密接で、最新の監査手法を積極的に導入しています。
転職難易度は最も高く、公認会計士や海外MBA取得者など、高い専門性を持つ人材が求められます。 年収相場も他社より若干高めに設定されています。
三井物産の内部監査部門は、資源事業の監査に特に強みを持っています。 三井物産は資源分野への投資が大きいため、資源事業特有のリスク管理や評価手法に長けた人材を重視します。
エネルギー業界やコモディティ取引の経験者にとっては、非常に魅力的な転職先と言えるでしょう。
伊藤忠商事は、消費財分野に強い商社として知られていますが、内部監査部門でも消費者向けビジネスの監査に特色があります。 ブランド管理やマーケティング関連のリスク評価など、他社では経験できない監査業務があります。
❗各社の転職難易度は、その時の欠員状況や事業環境によって大きく変動するため、複数社への応募を検討することが重要です。
住友商事の内部監査部門は、インフラ事業の監査に強みを持っています。 発電所、鉄道、通信インフラなど、長期にわたるプロジェクト型事業の監査経験を積むことができます。
建設業界やインフラ業界出身者には最適な転職先の一つです。
丸紅は、電力・プラント事業に強い商社であり、内部監査部門でもこれらの分野の専門性が重視されます。 技術系バックグラウンドを持つ人材の採用に積極的です。
双日は、比較的規模の小さい総合商社ですが、その分、内部監査担当者一人あたりの裁量は大きくなります。 幅広い業務を経験できるため、将来的に独立や起業を考えている方には良い選択肢です。
豊田通商は、自動車関連事業に特化した監査業務が中心となります。 自動車業界出身者にとっては、専門知識を最大限に活かせる環境です。
▼各社の内部監査部門比較表
- 三菱商事:規模最大、国際基準重視、転職難易度最高
- 三井物産:資源事業特化、コモディティ専門性重視
- 伊藤忠商事:消費財特化、ブランド・マーケティング監査
- 住友商事:インフラ事業特化、長期プロジェクト監査
- 丸紅:電力・プラント特化、技術系人材歓迎
- 双日:規模小、裁量大、幅広い経験可能
- 豊田通商:自動車特化、業界専門性重視
転職難易度を左右する要因は複数あります。
出る頻度です。 内部監査のポジションは欠員補充が中心のため、求人数は限定的です。 大手商社では年間2~3名程度の採用が一般的です。
次に、求められるスキルレベルの高さです。 総合商社の内部監査では、会計・法務・ITなど複数分野の知識が求められるため、応募者のハードルは高く設定されています。
私が転職支援をした経験では、以下のような方が比較的転職に成功しやすい傾向にありました。
▼転職成功者の特徴
- 監査法人で3年以上の実務経験
- 上場企業での経理・財務経験5年以上
- 公認会計士、CIA等の専門資格保有
- TOEIC850点以上の英語力
- 海外勤務経験または海外案件の担当経験
応募から内定までの期間は通常2~4ヶ月程度です。 書類選考、筆記試験、複数回の面接を経て最終的な合否が決定されます。
面接では、技術的な知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力も重視されます。 内部監査の仕事では、様々な部門の担当者と協力して業務を進める必要があるためです。
各社の採用時期にも特徴があります。 多くの総合商社では、4月と10月の年2回、定期的な中途採用を実施しています。 ただし、急な欠員が生じた場合は、時期に関係なく募集が行われることもあります。
転職エージェントの活用も重要な成功要因です。 総合商社の内部監査ポジションは非公開求人として扱われることが多いため、商社に強いエージェントとの関係構築が不可欠です。
総合商社内部監査への転職活動の進め方と対策法

総合商社の内部監査への転職を成功させるためには、戦略的なアプローチが必要です。 30年間の商社経験を通じて見てきた成功事例をもとに、具体的な転職活動の進め方を解説します。
転職活動は準備期間を含めて6~12ヶ月の長期計画で進めることが成功の鍵です。
まず、転職活動全体のスケジューリングから始めましょう。
▼転職活動のタイムライン
- 準備期間(3~6ヶ月):スキル習得・資格取得・情報収集
- 応募期間(1~2ヶ月):応募書類作成・エージェント登録
- 選考期間(2~3ヶ月):面接・筆記試験・最終選考
- 調整期間(1ヶ月):条件交渉・退職手続き
準備期間では、自分のスキルの棚卸しと不足分野の補強を行います。 総合商社の内部監査で求められる主要スキルを改めて確認しましょう。
会計・財務知識については、最低でも簿記2級レベルの理解が必要です。 できれば簿記1級や公認会計士の勉強を始めることをお勧めします。 実際に資格を取得できなくても、勉強した事実は面接で評価されます。
法務知識では、会社法、金融商品取引法、独占禁止法などの基本的な理解が求められます。 ビジネス実務法検定や法学検定などの資格取得も検討してみてください。
英語力の向上も重要です。 TOEIC800点以上を目標に、継続的な学習を進めましょう。 特にビジネス英語の読解力と文書作成能力の向上に重点を置くことが大切です。
❗転職活動で最も重要なのは、「なぜ総合商社の内部監査で働きたいのか」という動機を明確にすることです。
面接では必ずこの質問をされますし、転職後のモチベーション維持にも直結します。
私がアドバイスしてきた転職成功者の動機例をご紹介します。
「現在の会社では特定の業界しか経験できないが、総合商社では多様な事業領域の監査を通じて幅広い知識を身につけたい」
「グローバルなビジネス環境で内部監査のスキルを磨き、将来的には国際的な監査専門家として活躍したい」
「ESG経営が重視される現代において、総合商社のような影響力の大きい企業で社会的意義のある仕事をしたい」
応募書類の作成では、特に職務経歴書の内容が重要になります。
職務経歴書では、これまでの経験が内部監査業務にどのように活かせるかを具体的に記載しましょう。 数値を使った実績の記載も効果的です。
例:「月次決算業務の効率化により、締切を従来より3日短縮することに成功」 例:「システム導入プロジェクトにおいて、予算管理とリスク評価を担当し、予算内での完遂を実現」
転職エージェントの選定と活用方法も重要です。
総合商社に強い転職エージェントは限られているため、複数のエージェントに登録することをお勧めします。 大手総合型エージェント、商社専門エージェント、会計士専門エージェントなど、異なるタイプのエージェントを使い分けることが効果的です。
エージェントとの面談では、自分の経歴と希望を正確に伝えることが重要です。 また、総合商社の最新動向や求人市場の状況についても積極的に情報収集しましょう。
面接対策では、総合商社特有の質問に対する準備が必要です。
▼総合商社面接でよく聞かれる質問
- 総合商社の事業モデルをどう理解しているか
- ESG経営についてどう考えるか
- グローバルビジネスの経験と今後の展望
- リスク管理に対する考え方
- チームワークを重視する場面での経験
- 困難な状況での問題解決経験
特に重要なのは、具体的な事例を交えて回答することです。 単なる知識の羅列ではなく、実体験に基づいた回答が求められます。
筆記試験対策も忘れてはいけません。 多くの総合商社では、一般常識、英語、専門知識(会計・法務)の筆記試験が実施されます。
市販の問題集を活用して、継続的な学習を心がけましょう。 特に時事問題については、経済新聞やビジネス雑誌を定期的に読んで、最新の動向を把握しておくことが大切です。
内定後の条件交渉では、年収だけでなく、配属先、研修制度、キャリアパスなどについても確認しましょう。 転職エージェントを通じて交渉することで、より良い条件を引き出せる可能性があります。
現職の退職手続きも計画的に進める必要があります。 引き継ぎ業務の整理や、後任者の教育など、円満な退職のための準備を怠らないようにしましょう。
転職活動中のメンタル管理も重要です。 内部監査のポジションは求人数が限られているため、不採用になることもあります。 長期戦になることを覚悟し、継続的に活動を続ける精神力が必要です。
内部監査経験者が語る総合商社転職のリアルな体験談

実際に総合商社の内部監査部門に転職した方々の体験談を通じて、転職のリアルな実態をご紹介します。 私が30年間の商社経験で出会った転職成功者の声をお聞きください。
実際の転職体験を知ることで、転職活動の具体的なイメージを掴むことができ、成功確率が格段に向上します。
Aさん(35歳・監査法人出身)の体験談
「大手監査法人で8年間勤務した後、三井物産の内部監査部門に転職しました。 転職のきっかけは、監査法人での仕事に限界を感じたことでした。 クライアント企業の外部監査だけでなく、一つの会社の成長に深く関わりたいと思ったのです。
転職活動で最も印象的だったのは、面接での質問の深さでした。 単に監査の技術的な知識を問うだけでなく、『なぜ商社なのか』『商社のビジネスモデルのリスクをどう考えるか』といった本質的な質問が多かったです。
転職後1年が経ちましたが、監査法人時代とは全く異なる充実感を感じています。 海外子会社の資源事業監査では、現地に2週間滞在して詳細な業務プロセスを確認しました。 オーストラリアの鉄鉱石事業では、採掘現場まで足を運び、現物の在庫管理状況を確認したときは感動しました。
年収は監査法人時代から約200万円アップしましたが、それ以上に仕事の幅広さと深さが魅力です。」
Bさん(29歳・メーカー経理部出身)の体験談
「自動車部品メーカーで経理業務を5年間担当した後、伊藤忠商事の内部監査部門に転職しました。 未経験での転職だったため、最初は不安でいっぱいでした。
転職活動では、3社のエージェントに登録し、半年間で15社に応募しました。 その中で書類選考を通過したのは5社、最終面接まで進んだのは2社でした。
伊藤忠商事を選んだ理由は、消費財分野に強い商社であり、前職での製造業経験を活かせると判断したためです。 面接では、『メーカー出身として商社のビジネスモデルをどう見るか』という質問が印象的でした。
転職後の研修制度は想像以上に充実していました。 3ヶ月間の新任者研修では、商社のビジネスモデルから内部監査の実務まで、体系的に学ぶことができました。
❗未経験者には厳しい環境ですが、学習意欲と向上心があれば必ず成長できる環境です。
現在は繊維事業部門の監査を担当していますが、アジア各国のアパレル工場の労働環境監査など、社会的意義の大きい仕事に携われることに大きなやりがいを感じています。」
Cさん(42歳・銀行検査部出身)の体験談
「地方銀行の検査部で15年間勤務した後、住友商事の内部監査部門にシニア監査役として転職しました。 転職の動機は、より大きなスケールでリスク管理に関わりたいという思いでした。
転職活動で苦労したのは、銀行業界と商社業界の違いを理解することでした。 銀行の検査業務と商社の内部監査では、対象となるリスクの種類が大きく異なります。 信用リスク中心の銀行に対して、商社では市場リスク、オペレーショナルリスク、カントリーリスクなど多様なリスクを扱います。
面接では、『なぜ42歳というタイミングで転職を決意したのか』という質問に苦労しました。 正直に、『銀行業界の将来性に不安を感じ、より成長性の高い業界で経験を積みたい』と答えました。
転職後2年経った今、この決断は正しかったと確信しています。 インフラ事業の監査では、発電所や鉄道プロジェクトなど、社会基盤を支える事業に関わることができます。
特に印象的だったのは、東南アジアでの発電所建設プロジェクトの監査でした。 現地政府との契約内容から、技術仕様の詳細まで、幅広い観点からリスク評価を行いました。 銀行時代では絶対に経験できない規模とスケールの仕事です。」
Dさん(26歳・IT企業出身)の体験談
「IT企業でシステム監査を3年間担当した後、丸紅の内部監査部門に転職しました。 若手での転職だったため、将来性を重視した採用だったと思います。
転職活動で最も準備に時間をかけたのは、会計知識の習得でした。 IT出身のため、財務会計の知識が不足していることを自覚していました。 転職活動と並行して簿記1級の勉強を進め、面接では『現在簿記1級の勉強中で、転職後半年以内に取得予定』とアピールしました。
転職後の配属は、予想通りIT監査を中心とした業務でした。 商社のシステムは非常に複雑で、世界中の拠点を結ぶネットワークの監査は想像以上にやりがいがありました。
現在は電力事業部門のシステム監査を担当しています。 発電所の制御システムや電力取引システムなど、社会インフラに直結するシステムの監査は大きな責任を伴いますが、その分達成感も大きいです。
年収は前職から約150万円アップし、現在28歳で年収750万円となっています。 同世代の友人と比較しても、かなり恵まれた条件だと思います。」
これらの体験談から見えてくる共通点は、転職成功者が皆「明確な目的意識」を持っていることです。 単に年収アップや待遇改善だけでなく、「より大きなスケールで仕事をしたい」「社会的意義の大きな仕事に関わりたい」といった強い動機を持っています。
また、転職後の継続的な学習姿勢も重要です。 総合商社の内部監査は非常に幅広い知識が求められるため、転職後も継続的にスキルアップを続ける必要があります。
総合商社内部監査転職でよくある失敗パターンと回避法

転職活動では成功事例だけでなく、失敗事例から学ぶことも重要です。 私が見てきた総合商社内部監査転職での失敗パターンと、その回避法について詳しく解説します。
失敗パターンを事前に知ることで、同じ過ちを避け、転職成功率を大幅に向上させることができます。
失敗パターン1:準備不足での応募
最も多い失敗パターンは、十分な準備をせずに応募してしまうことです。
実際の失敗事例をご紹介します。 製造業で経理業務を担当していたEさん(32歳)は、「商社の方が年収が高そう」という理由だけで転職活動を開始しました。
面接では「なぜ内部監査なのか」「商社のビジネスモデルをどう理解しているか」といった基本的な質問に答えられず、1次面接で不採用となりました。
▼回避法
- 転職理由と志望動機を明確にする
- 商社のビジネスモデルと内部監査の役割を深く理解する
- 応募企業の最新情報を収集し、具体的な志望理由を用意する
- 業界研究と企業研究に十分な時間をかける
失敗パターン2:スキルの過大評価
自分のスキルレベルを過大評価し、実際の要求水準とのギャップに気づかないケースです。
会計事務所で3年間勤務したFさん(28歳)は、「公認会計士の勉強をしているから問題ない」と考えて応募しましたが、筆記試験で商社特有の業界知識問題に全く答えられませんでした。
❗総合商社の内部監査では、会計知識だけでなく、幅広い業界知識と国際的な視点が求められます。
▼回避法
- 求められるスキルレベルを正確に把握する
- 自分の現在のスキルと要求水準のギャップを客観視する
- 不足分野の学習計画を立てて実行する
- 転職エージェントからフィードバックを受ける
失敗パターン3:短期的な転職活動
内部監査のポジションは求人数が限られているため、短期決戦では成功しにくいのが現実です。
IT企業出身のGさん(35歳)は、「3ヶ月で転職を決めたい」として活動を開始しましたが、希望に合う求人が見つからず、最終的に妥協した転職をしてしまいました。
▼回避法
- 6~12ヶ月の長期計画で転職活動を進める
- 複数の求人機会を並行して検討する
- 転職時期にこだわりすぎず、ベストなタイミングを待つ
- 現職を続けながら転職活動を行う
失敗パターン4:年収だけを重視した転職
高年収に魅力を感じて転職したものの、業務内容や職場環境に適応できずに早期離職してしまうケースです。
銀行出身のHさん(40歳)は、年収200万円アップの条件に魅力を感じて転職しましたが、商社特有のグローバルな業務環境に適応できず、1年半で退職してしまいました。
▼回避法
- 年収以外の要素も総合的に評価する
- 業務内容と自分の適性をしっかり見極める
- 職場環境や企業文化との適合性を確認する
- 転職後のキャリアパスも考慮した判断をする
失敗パターン5:面接での準備不足
技術的な知識は十分でも、面接での表現力不足で不採用になるケースです。
監査法人出身のIさん(33歳)は、専門知識は豊富でしたが、「なぜ商社なのか」という質問に対して、具体性のない抽象的な回答しかできませんでした。
▼回避法
- 想定質問に対する回答を事前に準備する
- 具体的なエピソードを交えた回答を心がける
- 模擬面接を実施してフィードバックを受ける
- 自分の経験と応募企業のニーズをリンクさせる
失敗パターン6:情報収集不足
転職エージェントや求人情報だけに頼り、実際の職場情報を十分に収集しないまま転職してしまうケースです。
コンサルティング会社出身のJさん(36歳)は、転職前の情報収集が不十分で、実際の業務内容が想像と大きく異なっていることに転職後に気づきました。
▼回避法
- 複数の情報源から情報を収集する
- 可能であれば現職社員との面談機会を設ける
- 業界イベントや勉強会に参加してネットワークを構築する
- 転職前に職場見学や業務体験の機会を求める
失敗パターン7:転職エージェントへの依存
転職エージェントに任せきりにして、自分自身での情報収集や準備を怠るケースです。
メーカー出身のKさん(31歳)は、エージェントからの情報だけに頼り、自分で企業研究を行いませんでした。 結果として、面接で企業特有の質問に答えられず不採用となりました。
▼回避法
- エージェントの情報は参考程度に留める
- 自分自身でも積極的に情報収集を行う
- 複数のエージェントから意見を聞く
- 最終的な判断は自分で行う
これらの失敗パターンを避けるためには、転職活動を戦略的かつ計画的に進めることが重要です。 特に、自己分析と企業研究に十分な時間をかけ、なぜその会社で働きたいのかを明確にすることが成功の鍵となります。
私が転職支援をしてきた経験では、失敗する方の多くが「商社への憧れ」や「高年収への期待」といった表面的な動機で転職活動を開始しています。 一方、成功する方は「自分のスキルを活かして社会に貢献したい」「グローバルな環境で成長したい」といった本質的な動機を持っています。
転職は人生の重要な決断です。 十分な準備と慎重な判断で、後悔のない転職を実現してください。
総合商社内部監査転職を成功させるための具体的行動プラン

これまでの内容を踏まえて、総合商社内部監査への転職を成功させるための具体的な行動プランを時系列で整理します。 このプランに従って着実に準備を進めれば、転職成功の確率を大幅に向上させることができます。
成功する転職活動には、明確な行動計画と継続的な実行力が不可欠です。
Phase 1:基礎固め期(転職の6~12ヶ月前)
まず、自分の現在地を正確に把握することから始めます。
▼スキルの棚卸しチェックリスト
- 会計・財務知識レベル(簿記資格の有無・レベル)
- 法務知識レベル(関連法規の理解度)
- 英語力レベル(TOEIC点数・実務での使用経験)
- IT知識レベル(システム監査・セキュリティ知識)
- 業界知識レベル(現在の業界以外の知識)
- マネジメント経験(チーム運営・プロジェクト管理)
不足分野については、この期間に集中的に学習を行います。
会計知識が不足している場合は、簿記2級の取得を最低目標とし、可能であれば簿記1級や公認会計士の勉強を開始します。 法務知識については、ビジネス実務法検定やコンプライアンス・オフィサー認定試験の受験を検討してください。
英語力向上のため、TOEIC800点以上を目標に継続的な学習を行います。 特に、ビジネス文書の読解と作成能力の向上に重点を置きましょう。
この期間に、総合商社各社の業績や最新動向についても継続的に情報収集を行います。 日経新聞や業界専門誌を定期的に読み、ESG経営やデジタル化など、現在の商社が直面している課題について理解を深めてください。
Phase 2:情報収集・準備期(転職の3~6ヶ月前)
転職エージェントへの登録と面談を開始します。
▼推奨する転職エージェントのタイプ
- 大手総合型エージェント(リクルート、doda等)
- 商社専門エージェント
- 会計士・監査専門エージェント
- 外資系エージェント(海外経験を活かしたい場合)
複数のエージェントと面談を行い、市場動向や求人状況について情報収集します。 この際、自分の市場価値についても客観的な評価を受けましょう。
応募書類の作成も本格的に開始します。 履歴書・職務経歴書は、内部監査業務への適性をアピールできる内容に調整します。
▼職務経歴書作成のポイント
- 数値を使った具体的な実績記載
- 内部監査業務に関連するスキル・経験の強調
- 問題発見・解決能力をアピールする事例の紹介
- 海外経験やグローバルな視点の強調
- 継続学習の姿勢をアピールする資格取得歴
業界研究と企業研究を本格化します。 各商社の決算説明資料、統合報告書、サステナビリティレポートなどを詳細に読み込み、各社の特徴と戦略を理解します。
❗この段階での準備の質が、その後の選考結果を大きく左右します。手を抜かずに徹底的に準備しましょう。
Phase 3:応募・選考期(転職の1~3ヶ月前)
いよいよ求人への応募を開始します。
応募は一度に多数の企業に出すのではなく、優先順位をつけて段階的に行います。 第一志望群、第二志望群に分けて、まずは第一志望群から応募を開始しましょう。
面接対策を本格化します。
▼面接対策の重点項目
- 志望動機の明確化と具体化
- 自己PRの内容とプレゼンテーション方法
- 想定質問への回答準備
- 逆質問の準備(企業への質問)
- 模擬面接の実施
筆記試験対策も並行して進めます。 一般常識、英語、専門知識(会計・法務)について、市販の問題集を活用した学習を継続します。
選考プロセスでは、各段階での振り返りを丁寧に行います。 面接後は必ず自己評価を行い、改善点を次回に活かします。
Phase 4:最終調整期(内定~入社まで)
内定獲得後も気を抜かず、入社に向けた準備を進めます。
条件交渉では、年収だけでなく、配属予定部署、研修制度、キャリアパス、勤務条件などについても確認します。 不明な点は遠慮せずに質問し、入社後のミスマッチを防ぎましょう。
現職の退職手続きも丁寧に進めます。 引き継ぎ資料の作成、後任者への業務移管、関係者への挨拶など、円満退職のための準備を怠らないでください。
入社前の自己研鑽も継続します。 内定企業の事業内容についてより深く学習し、入社後のスムーズなスタートに備えます。
継続的な活動項目
転職活動期間を通じて、以下の活動を継続的に行います。
情報収集活動として、業界ニュースのチェック、商社各社の決算発表の確認、ESG関連の最新動向の把握を日常的に行います。
スキルアップ活動として、資格取得の勉強、語学力向上、業界知識の習得を継続的に進めます。
行動プランの進捗管理
転職活動の進捗を可視化するため、以下の管理表を作成することをお勧めします。
▼進捗管理項目
- 学習進捗(資格取得状況、学習時間記録)
- 応募状況(応募企業、選考段階、結果)
- 面接記録(質問内容、回答内容、反省点)
- ネットワーキング記録(参加イベント、得られた情報)
週次でこれらの項目を見直し、計画の修正や追加の対策を検討します。
メンタル管理の重要性
転職活動は精神的にも体力的にも負担の大きい活動です。 長期間にわたる活動を継続するため、以下の点に注意してメンタル管理を行いましょう。
現職の業務を疎かにしないよう、転職活動と現職のバランスを保ちます。 転職活動に集中するあまり、現職での評価が下がってしまうことは避けなければなりません。
不採用になった場合でも、必要以上に落ち込まないよう心がけます。 内部監査のポジションは求人数が限られているため、優秀な人材でも不採用になることは珍しくありません。
家族や友人など、信頼できる人に相談し、精神的なサポートを受けることも大切です。 転職活動の悩みや不安を一人で抱え込まないようにしましょう。
成功の指標
転職活動の成功を測る指標は、単に内定獲得だけではありません。 以下の観点から総合的に評価することが重要です。
▼転職成功の評価指標
- 希望企業からの内定獲得
- 業務内容の充実度向上
- 年収・待遇面での改善
- キャリアパスの明確化
- ワークライフバランスの改善
- 将来の成長可能性の拡大
これらの指標を総合的に評価し、本当に成功と言える転職を実現してください。
総合商社内部監査転職を成功させるための総括とポイント
総合商社の内部監査への転職は、適切な準備と戦略的なアプローチにより、十分に実現可能な目標です。
▼重要ポイントの総括
- 総合商社内部監査転職は、ESG経営の重要性が高まる現代において、非常に魅力的なキャリア選択である
- 未経験者でも、適切なスキル習得と準備により転職は可能であり、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍している
- 年収相場は他業界と比較して競争力があり、福利厚生や将来的なキャリアパスも充実している
- 各商社にはそれぞれ特色があるため、自分の経験と適性に合った企業選択が重要である
- 転職活動は6~12ヶ月の長期計画で進め、基礎スキルの習得から企業研究まで段階的に準備することが成功の鍵となる
- 失敗パターンを理解し、同じ過ちを避けることで転職成功率を大幅に向上させることができる
商社勤務30年の経験から申し上げると、総合商社の内部監査は非常にやりがいのある仕事です。 会社全体を俯瞰的に見ることができ、問題発見と改善提案を通じて企業価値向上に直接貢献できます。
グローバルなビジネス環境で多様な経験を積むことができ、将来的なキャリアの選択肢も豊富です。 この記事でお伝えした内容を参考に、ぜひ総合商社内部監査への転職成功を実現してください。
あなたの転職活動が成功し、充実したキャリアを築けることを心から願っています。